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おひさまdekiru Studyだより 11月前期号(R4No44)




 発達特性のあるお子さんの中には、ワーキングメモリ(記憶しながら行動する、記憶しながら考える)と言われる領域に苦手さを持つ子がいます。


 ワーキングメモリは、日常でもよく使われる能力です。子どもたちであれば、黒板の内容をノートに写す、先生の指示を聞いて行動するなどが代表的です。黒板をノートに写すという行動は、書かれてある内容の一部を短期的に記憶し、記憶した内容を文字に書き表すという2つの作業を同時に行っています。


ワーキングメモリが弱い子は、一度に覚えられる量が少ないため何度も黒板を見ないといけなくなります。また、文字を書いているうちに『あれ?なんて書いてたっけ?』と覚えていた内容を忘れてしまうこともあります。


先生の指示を聞いて行動する場合も、メカニズムは同様です。指示が長くなると『あれ?先生なんて言ってたっけ?』となったり、指示を最後まで聞けていても行動しているうちに『あれ?次何するんやっけ?』と指示を忘れてしまったりします。


このように、ワーキングメモリというのは2つのことを同時に行う能力を指します。

 


 さて、ワーキングメモリに弱さのある子に対して、学習場面ではどのように関わればよいのでしょうか?挙げればキリがないので、今回は鉛筆の持ち方についてお話したいと思います。


お子さんが漢字の宿題をしている最中に「鉛筆を正しく持って書きなさい!」と注意される方は多いのではないでしょうか?定型発達の子や、ワーキングメモリに弱さのない子にはこの指導で問題ありません。


ただ、この注意は”漢字を正しく書くこと”と”鉛筆を正しく持つこと”という2つのことを指示していることにお気付きでしょうか?ワーキングメモリの弱い子にとっては、上記のような指示をされると鉛筆を正しく持つことに集中してしまいます。


そのため、漢字を正しく書いたり漢字を覚える方にエネルギーを使えなくなってしまいます。その結果、漢字を書いていても頭に入ってこないという状況になります。


ワーキングメモリに弱さのあるお子さんには、鉛筆を正しく持つ練習と漢字の練習は別々で行った方が良いと言われています。例えば、鉛筆を正しく持つ練習のときは文字の練習をせずに線なぞりをするという方法があります。


他には、文字を書く練習はするけど文字を覚えることを目標とせず、あくまで正しい持ち方にだけ注目するという方法もあります。慣れてくれば、鉛筆の持ち方と漢字を学習するという2つのことを指導しても大丈夫になる子もいますが、基本的には1つの学習に対して1つの目標を設定する方法が良いと言われています。


ご自宅での学習でも、1つの学習に対して目標は1つだけにするということを意識してみてくださいね。


臨床心理士・公認心理師 福原華奈


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